東洋医学的な総合医療とは
汐入整骨院横須賀鍼灸院 院長の佐藤です。
総合病院や大学病院では、それぞれ専門分野の診療科があります。
整形外科や眼科などのことです。
専門の知識をもったドクターが診察することで、より高度な医療サービスを受けられる仕組みです。
近年の傾向はより細分化された専門科があり、整形外科でも、膝専門や肩専門などがあります。
しかし、患者一人にいくつもの疾病や症状が同時に発症していることがあり、いくつもの専門科を受診される方も多くいらっしゃいます。
それで、今注目を浴びているのが、「総合診療科」です。一人のドクターが一人の患者の全ての症状や愁訴を聞き、必要な検査や投薬を総合的に診る仕組みになっています。
これにより、飲み合わせの悪い薬がなくなり、検査も重複することがなくなり一人の患者が抱えるいくつもの疾病や愁訴を総合的に治療することが可能となっています。
「21世紀の医療のトレンド」だということも聞いています。
西洋医学の専門分野で細分化していく医療の形態がなぜか東洋医学の方に取り入れられはじめています。
「腰痛専門」や「肩こり専門」、「女性疾患専門」や「美容専門」などです。
得意とするあるいは地域のニーズに応える形でこういう業態になる院が多くあります。
私どもの院も、何か一つに特化した治療院にすべきだというご意見やご指導を受けたことが多くあります。
「色々やっていると、患者様にわかりづらく、器用貧乏になる」とまで言われたこともあります。
専門分野を作り、そこに特化した院で患者様の御支持を得ている院の先生ほど仰られます。
しかし、私はどうにも腑に落ちないものを感じていました。こういうふうにやりたいんだ。こうあるべきだ。という一言で表す言葉が見つからなかったのです。
そもそも、東洋医学、特に鍼灸はWHO(世界保健機構)においても140に及ぶ疾患、症状に有効であると認められています。
欧米でも鍼灸の信頼度が上がり、ドイツでは3万人を超えるドクターが鍼で様々な症例の治療を行っています。
アメリカでは、陸、海、空、海兵の4軍で2012年に鍼灸の治療を正式に採用しています。アフガニスタンやハイチの震災の救助活動での実績が有効であると判断されたためです。
イギリスでは、鍼ななぜ効くのかという科学的な根拠を求めた研究もされ、ネイチャーにも寄稿されています。
欧米だけでなく日本でも西洋医学から、より自然な治療と総合的な治療を選択する動きがある中、なぜもともと総合的な治療ができる東洋医学がわざわざ一つ、二つの症状に特化した治療をしなければならないのかという疑問がずっとありました。
長年の腑に落ちない状態は、治療業界の現状に逆らう形でやって来ました。
近年は東洋医学でも総合医療という言葉が少しづつではありますが、聞かれるようになりました。
当院で、痛みやその原因、筋筋膜・骨格のバランス、自律神経、ホルモンバランス、美容効果を求める施術メニューがあるのは、「東洋医学的な総合医療」に原点があるのです。
目新しくもなく、奇をてらったことをしているわけではなく、東洋医学の基本を大事にして、西洋医学でも通用する共通言語でのエビデンスの獲得をめざしているだけなのです。
つまり、古今東西からのイノベーションを図っているのです。
本記事は、厚生労働省認可の国家資格「柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師」佐藤智一が監修しています